========================================================================== おじさんのためのマルチメディア&サテライトマガジン ◆◆◆ おじさん瓦版 ◆◆◆ 第 023号 1998年11月24日発行 by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/mura.htm ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディア(テレビ*パソコン*電話)  とサテライト(衛星)関連のニュースやトピックスを、毎週平易かつ簡明に解説  してお届けいたします。 ========================================================================== <<もくじ>> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.マイクロソフトに排除勧告!! 02.「固定」から「移動」へ。郵政省97年度電話利用調査より 03.パソコン各社の戦略変化?新型販売から長寿命化、顧客サービス重視に  ・東芝、旧型ノートパソコンのアップグレードサービス開始  ・富士通、コンビニへの24時間持ち込み可能な「パソコン修理便」開始 04.米メディア、勢力地図に異変。ワーナー復権、ディズニー苦戦 ---◆最近のサテライトニュースから◆--- 01.次期CSを共同運用、SCCとJSATが合意。BSと同一軌道に打ち上げ ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●マイクロソフトに排除勧告!!  http://www.jftc.admix.go.jp/pressrelease/98.november/98112001.pdf  http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases/1120ftcj.htm  各種メディアで報道されたように、公正取引委員会は20日、マイクロソフトの日 本法人がパソコンメーカーに、表計算ソフトとワープロソフトなどを不当に抱き合 わせ販売したとして、独占禁止法違反(不公正な取引方法)で同社に対し今後この ような行為をしないよう排除勧告した。  また、パソコンメーカーとインターネット接続業者に、他社のインターネット閲 覧ソフトを排除するよう求めたとして、同社と米国マイクロソフトに対し、同法違 反の疑いで警告した。マイクロソフトは勧告を応諾する方針。 >  皆さんもご存知のようにマイクロソフトの商法については、米国でも司法省な > どが反トラスト法(独禁法)違反の疑いで連邦地裁に提訴、係争の真最中。 >  シェア9割以上を握り、デファクトスタンダードとなったOS(基本ソフト)ウィ > ンドウズ。これを武器に、OS上で動くアプリケーションソフト(応用ソフト)市場 > も自社ソフトで席捲しようとの貪欲姿勢は、競合他社から「マイクロソフトは怖 > い」「商売の仕方が悪どい」などの批判を浴びてきた。一方、超一流のマーケテ > ィング会社として同社の「商売のうまさ」を称賛する声も多い。 >  我が国で販売されるパソコンの多くが、ワープロと表計算ソフトを組み合わせ > た「ワード+エクセル」モデルと「一太郎+ロータス」モデルを設定している。 > ワード、エクセルはもちろんマイクロソフトの製品であり、一太郎、ロータスは > ワープロ、表計算の定番とも言えるライバル他社の超人気ソフトである。これが > 今回の排除勧告の舞台となった。 >  一太郎で急成長したベンチャー企業「ジャストシステム」は、マイクロソフト > の攻勢により(同社自身の経営ミスという要因も大きいが)大幅な赤字に転落、 > リストラ及びソニーの資本参加を仰ぐこととなった。インターネット閲覧ソフト > でシェア7割以上を占めていたネットスケープナビゲーターは、無料配布などマ > イクロソフトエクスプローラのなりふりかまわぬ攻勢に遭いシェアは逆転、ネッ > トスケープ社は米パソコン通信最大手AOLと合併との報道も流れている。 >  先週、米でサン・マイクロシステムズが同社が開発したプログラミング言語「 > Java(ジャバ)」を巡り、マイクロソフトを契約違反で訴えていた訴訟で、米連邦 > 地裁は事実上サンに軍配を上げる仮決定を下した。 >  自由競争のもたらす「あまりに強きが故の弊害」を阻止・是正するために設け > られた独占禁止法や関連諸制度。相半ばするマイクロソフトの功罪も、この制度 > が有効に機能することで功の側面がより強まることを期待したい。 ───────────────────────────────────── ●「固定」から「移動」へ。郵政省97年度電話利用調査より  日経産業新聞10、18日付け記事によれば、郵政省がまとめた昨年度の状況は下記 のとおりで、家庭や企業の一般加入電話が加入数・通話回数・通話時間とも初の減 少に転じたのに対し、移動電話やISDNは大幅に増加した。          加入数(前年度比) 通話回数(同)  通話時間(同)  一般加入電話  6045万(1.7%減)  919億(2.9%減)  40.2億(1.2%減)  携帯電話    3153 ( 51%増)  175 ( 59%増)  4.6 ( 72%増)  PHS      673 ( 12%増)   39 (104%増)  1.1 (112%増)  ISDN(64K契約) 236 (118%増)   37 (127%増)  1.3 (123%増) >  総通話回数に占める加入電話相互間通話の割合は73%と、一昨年に比べ17%以上 > も低下。一方、移動電話を介した通話は、移動電話相互間通話(8%強)に移動発加 > 入着、加入発移動着を加えると、27%と3割近くに達した模様で「固定」から「移 > 動」への移行が急激に進んでいる。 >  月間加入増減数がマイナスとなるなど元気のないPHSだが、通話回数、通話時間 > は倍増しており、安い通話料金、データ通信適性など特徴を生かしたサービスの > 提供で、生き残る可能性は十分あると言えるだろう。 >  ISDNはインターネット様様。 >  余談だが、NTTは昨日の朝日新聞に「インターネット、NTTにまかせればあなた > は何もしなくていい。」というキャッチコピーの15段広告を掲載した。コンパッ > ク製パソコンとISDN、OCNダイアルアップ接続をセットにし、配線・設定までまる > ごとおまかせで247,000円というサービスだ。 >  これを買ったユーザーのパソコンはきっと埃をかぶることになるだろう。ハー > ド環境さえ整えれば、インターネットを楽しめるなどとうそぶくNTTには、日本の > マルチメディアのリーダーたる資格は全く無い!! ───────────────────────────────────── ●パソコン各社の戦略変化?新型販売から顧客サービス重視に ・東芝、旧型ノートパソコンのアップグレードサービス開始  http://www.toshiba.co.jp/about/press/1998_11/pr_j0501.htm  旧型ノートパソコンのCPUやHDD、液晶などを交換・アップグレードする「東芝ノ ートPCグレードアップ安心サポート」を5日からスタート。電話、FAXで受け付け、 ユーザーが指定した時間帯にスーパーペリカン便が引き取り、1週間程度で返送して くれる仕組み。秋葉原、日本橋、大須の東芝PC工房でも受け付ける。 ・富士通、コンビニへの24時間持ち込み可能な「パソコン修理便」開始  http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/news/1998/Nov/19.html  ヤマト運輸と提携し、希望の時間帯に自宅からパソコン、周辺機器などの修理品 を引き取り、修理後また自宅に届けてくれる「富士通パソコン修理便」を来月1日よ り開始。料金は往復でデスクトップと周辺機器が2,500円/個、ノートPC2,000円/個。  日本全国で利用でき、来年1月からは修理品を近くのコンビニなど宅配便取扱店に 24時間いつでも持ち込めるサービスも開始される。 >  四半期毎に新製品を投入し、ユーザーに新型への買い替えを煽るパソコン各社 > の戦略については、瓦版14号でソニーのVAIOを例に取り上げた。 > 「ソニー、VAIOノート505シリーズの最新機種を発表」 >  http://www.micle.co.jp/kawara014.txt >  不況下でパソコン市場が伸び悩む中、販売・価格競争は一層激化、新製品での > 利益確保は益々困難になりつつある。クルマのオーバーホールのように、1台のパ > ソコンを長く使ってもらうことで、顧客満足、信頼性の向上を図り、併せてサー > ビス収入拡大もというのが各社の思惑である。 >  ユーザーにとっても歓迎すべき方向ではあるが、長寿命化は廃パソコンの処理 > 問題や中古品リサイクルなど環境問題もからんでいるようだ。思惑どおりに行く > かどうかは、偏に各社が真のユーザーニーズを理解しているか否かにかかってい > る。お手並み拝見!! ───────────────────────────────────── ●米メディア、勢力地図に異変。ワーナー復権、ディズニー苦戦  17日付け日経産業新聞によれば、エクセレントカンパニーの名をほしいままにし たウォルト・ディズニーの業績低迷が明らかになった一方、事業の焦点がはっきり しないと評価の低かったタイム・ワーナーが復権。明暗を読み解くキーワードは「 コンテンツ神話の崩壊」と「インフラ優位時代の到来」。世界中のメディア企業が 戦略の再考を迫られる事態がやって来た。  メディア帝国タイム・ワーナーの大黒柱はCATV。数年前は「金食い虫」「電話会 社との競争に勝てない」などと批判されたたが、デジタル化と新サービス(ネット 接続、電話、双方向ショッピング等)でCATVが情報通信と娯楽のコアインフラとな る可能性が見えて来た。足踏みを続けた同社株は過去1年で7割上昇。  最強のコンテンツ(映画・ビデオ)部門と、放送、テーマパークを擁するディズ ニーだが、世界経済混乱に伴うホームビデオ事業の不振など、7-9月期決算は大幅減 益、株価も低迷。  活字媒体やネットを含めた米国人の平均メディア視聴は1日10時間。新たなコンテ ンツが登場しても全体のパイは増えない。多数のニュース専門局がひしめく中、マ ードック傘下のフォックスニュースがCATV会社に伝送料を支払って、放映してもら うなど逆流現象も始まった。多チャンネル時代が来れば、コンテンツ不足が表面化 すると言う神話は崩壊した。  大手CATVへの集約化や規制緩和を機に寡占化の進む地上波局。家庭へのパイプを 支配するインフラ側が優位に立ち、コンテンツを買いたたける環境が熟し始めた。 >  CATV未発達、NHK・地上波民放キー局と大新聞によるメディア支配(地域メディ > アや多チャンネルTV未発達)、NTTの圧倒的支配下の通信分野などなど、我が国と > 米国とのメディア環境の違いはあまりに大きい。 >  これまで「マルチメディアの鍵を握るのはコンテンツ」と言われ、私もそう思 > っていたが、米国はすでにその先に行ってしまったようだ。でも、我が国はイン > フラ環境以上にあまりにもコンテンツが貧弱。当分コンテンツ神話が続く。!! ========================================================================== ---◆最近のサテライトニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●次期CSを共同運用、SCCとJSATが合意。BSと同一軌道に打ち上げ  http://www.superbird.co.jp/news.html  http://www.iijnet.or.jp/JSAT/news/981119.html  宇宙通信(SCC *1)と、日本サテライトシステムズ(JSAT *2)は、2000年打ち上げ予 定の次期通信衛星(N-SAT-110)の共同利用で合意。NHKなどが運用する放送衛星と同 一軌道の東経110度に、米ロッキード・マーチン社製の衛星を、欧州のアリアン・ス ペース社に委託して打ち上げる。トラポン(中継器)24本を両社12本づつ利用。 (*1)宇宙通信 三菱商事、三菱電器など三菱グループ28社の出資会社。ディレクTV用他現在CSを3基 運用。 (*2)日本サテライトシステムズ 伊藤忠商事、三井物産、住友商事、日商岩井4商社の出資会社。スカイパーフェクTV 用他現在CSを4基運用。 >  瓦版017号でディレクTVの起死回生策として、BSへの便乗を取り上げた。 > 「ディレクTV、増田社長解任の舞台裏。ヒューズの狙いはBSとの提携?」 >  http://www.micle.co.jp/kawara017.txt >  事態はどうもヒューズの狙い?どおりの方向に動いているようだ。経営問題を > 抱えるSCCとJSATは今回の共同運用に止まらず、より広範な提携・合併へと発展す > る可能性もある。さらにはディレクとスカパーの合併すら考えられる。 >  東経110度、しかも出力は同じ120W(現在はスカパーで60W、ディレク90W)。 > BS、CSは限りなく接近し、アンテナ1つ、チューナーも1台という、ユーザーにと > って誠に好都合な状況が出現するかもしれない。 >  トラポン数24本はチャンネル数で100から150。先回の瓦版でも書いたが、チャ > ンネル運営会社に再編・淘汰の嵐がいよいよ本格的に吹き荒れる。!! > 「CSデジタル、新チャンネル開設ラッシュの中で撤退・休止も相次ぐ」 >  http://www.micle.co.jp/kawara022.txt ========================================================================== ◇おじさん瓦版は、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』及びメールマガジン  立ち読みスタンド『Macky!』を利用して発行しています。  配信の停止や配信先の変更は、下記URLでお願いいたします。  『まぐまぐ』http://www.micle.co.jp/kawara.htm or http://www.mag2.com/  『Macky!』 http://macky.nifty.ne.jp/ ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。   http://www.micle.co.jp/kawara.htm ◇おじさん瓦版の全文または一部の文章を許可無く転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================