==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 033号 1999年 2月 9日発行      〜総配信数 1,230部 Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディア(テレビ*パソコン*電話)と  サテライト(衛星)関連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお  届けいたします。   by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/mura.htm ========================================================================== <<もくじ>> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.ネット時代の市内網を征するのは地域会社or長距離会社  ・AT&T、タイム・ワーナーと提携、CATV電話で地域通信市場へ再参入  ・米地域通信大手の収益、合併と新サービス奏功で急拡大 02.東急ケーブルテレビジョン、CATVインターネット加入件数4,000件突破 03.米ネット企業、マス広告で知名度アップ ---◆最近のサテライトニュースから◆--- 01.ソニー、CSデータ放送事業に参入。プラットフォーム会社設立へ 02.ソニー系CSチャンネル3社、病院向けに番組配信 ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●ネット時代の市内網を征するのは地域会社or長距離会社 ◆AT&T、タイム・ワーナーと提携、CATV電話で地域通信市場へ再参入  http://www.att.com/press/item/0,1193,330,00.html(英文)  米長距離通信最大手AT&Tは、CATV最大手タイム・ワーナーと提携、共同出資会社 を設立しCATV電話事業を展開する。先に買収した全米第2位のCATV会社TCIや、中堅 CATV会社を加え、84年の旧AT&T分割で失った地域通信市場への再参入を目指す。  新会社はAT&Tが77.5%、タイム・ワーナーが22.5%を出資。AT&Tはタイム・ワーナ ーのCATV網を20年間という超長期にわたり独占的に使用でき、地域・長距離に分断 されない一貫ネットワークが誕生する。 ◆米地域通信大手の収益、合併と新サービス奏功で急拡大  ベル・アトランティック、SBCコミニュケーションズなど米地域通信大手5社の98 年10-12月期決算は、合併によるコスト削減や、携帯電話、ネットサービスなど新事 業や、電話関連新サービスの好調により、軒並み二ケタ台の増益となった。  99年は5社とも、ネット接続速度を高めるDSL(*)サービスを開始するなど、さらな る新分野開拓を進めており、AT&Tなどとの競争が一層激しさを増す。 (日経産業新聞2月2日付記事より) (*)DSL(デジタル加入者回線 digital subscriber line)  既存の電話回線(銅のペア・ケーブル)を利用する高速データ伝送技術の総称。 ISDNも一種のDSL。HDSL(High speed DSL)や、ADSL(Asymmetrical 非対称型 DSL)等 がある。HDSLは双方向伝送ができるが、能力は数百Kbps。ADSLは高速データを片方 向にしか伝送できないが、能力は1.5M〜9Mbps。 >  半導体やパソコンの性能が飛躍的に向上するなかで、インターネットのボトル > ネックは家庭に直結する加入者回線の速度の遅さ。解消手段として実用化が進み > つつあるのがDSL、CATV、そして衛星。地域通信各社と長距離第2位MCIワールドコ > ムはDSLの普及を急ぎ、AT&TはCATVに賭ける。 >  タイム・ワーナー(カバー世帯数2,000万)、TCI(1,800万)に続き、他のCATV会社 > とも連携を進め全米6割の世帯を網羅し、マ・ベル(母なる電話会社)と呼ばれ米通 > 信界に君臨したAT&T帝国復権を狙う。加入者回線を持たない長距離新興勢力に圧 > 倒的優位に立つとともに、かつての分身地域ベル各社の長距離進出が滞っている > 間に相手の牙城を切り崩す両面作戦。成否は如何に?。 > >  さて我国は。85年の通信自由化でNTTは民営化されたが、分離・分割は先送り。 > 長距離、国際、移動体分野に幾つかのNCC(新規通信事業者)が生まれたものの、郵 > 政省とNTTの庇護下でNTTに正面から対抗する努力を怠り、環境変化や合従連衡に > も鈍感であった。今夏の再編でNTTは持ち株会社と長距離・国際通信会社、東西の > 地域電話会社に分かれ、ようやく米国の1984年並となる。 >  独占が崩れ、激しい競争環境下で新技術や新サービスが生まれた結果、米国は > 情報通信大国として復活した。インターネットなど新たな技術や市場は、高速一 > 貫ネットワークのニーズを強め、政府も新通信法で逸早く対応、事業者も異業種 > 企業との合併・買収など新たな戦略に邁進している。 >  15年間の差はあまりに大きい。(>_<) ───────────────────────────────────── ●東急ケーブルテレビジョン、CATVインターネット加入件数4,000件突破  http://www.catv.ne.jp/internet/internet.htm (情報未掲載)  昨年4月に開始したCATVインターネット接続サービス「@CATV(かっとび)」の加入 件数が1月末で4,000件を突破、我国最大規模に。高速(電話回線の数十〜数百倍)、 低価格(月額3,200円、5,200円の定額制)が人気。  現在技術的問題で一戸建てしか利用できず、今後エリア内の3分の2を占めるマン ションなど集合住宅への対応が成長のカギ。(日経産業新聞2月4日付記事より) >  前述のように、米国では世帯普及率6割以上の高普及を背景に、CATV網が電話回 > 線に対抗する次世代加入者網として大きくクローズアップされている。 >  昨年来、我国でもネット接続を手がける事業者が相次ぎ、MSO(*)同士が共同で > 光ファイバー網建設に着手するなど、CATVの通信インフラ化の動きが見られる。 > >  「全国CATVインターネット提供局一覧」 >   http://wire.point5.co.jp/catv/ >  「タイタス、傘下局の光ファイバー接続でジュピターと相互協力」 >   http://www.titus.co.jp/news/n_990107.html > > (*)MSO(Multiple System Operator) >  複数のCATV局を所有・運営する事業統括会社。我国では、住友商事系のジュピ > ター・テレコムと伊藤忠系のタイタス・コミュニケーションズが代表 > >  我国のCATV世帯普及率は15%(700万)、地上波放送の再送信のみを行う難視聴対 > 策受信世帯数を加えても30%(1,400万)に過ぎない。事業者数は約300、市町村単位 > の小規模エリアで加入数数万の小規模経営が多く、赤字事業者が半数を占める。 > 業界2位の東急ケーブルテレビですら加入世帯は約20万。前途はまさに多難。 > >  なお業界動向については若干古いが、下記レポートがよくまとまっている。 > 「CATV事業の明と暗を探る」情報通信総合研究所 トレンド情報より >  http://www.icr.co.jp/newsletter/trend/series/1997/s97C001.html >  第1回 CATVの普及を予測する >  第2回 業界再編成の鍵は、通信業界 >  第3回 CATVのデジタル化を予測する >  第4回 CATV電話とインターネット接続サービスは、CATV事業の本命か ───────────────────────────────────── ●米ネット企業、マス広告で知名度アップ  ドットコム(.com)がつく名前に代表される米ネット企業に、ラジオやテレビとい う従来型マス広告を利用する動きが広がっている。昨年1-9月にネット企業が費やし たマス広告の合計は3億ドル強で、前年同期を1億ドル以上上回った。「大企業と同 じ認知度と信頼を即座に獲得できる」「株価を上昇させ、株主を満足させるのに効 果的」等がその理由。  インターネットは企業と顧客が一対一の関係を築くことができ、個客マーケティ ングに適しているといわれてきただけに、ネット企業がマス広告に頼るのは皮肉な 現象だ。(日経産業新聞2月5日付記事より) >  インターネット、そしてデジタル時代の広告の特徴は“双方向性”。 > 消費者1人1人の属性や嗜好を把握して、それに適した広告や販売促進活動を展開 > したり、広告と販売とを連動させたサービスが可能となる。 >  2月8日付日経ビジネスの「インターネット販売に7つの誤解」と題した記事に > 「ネット販売企業は、顧客や注文の獲得に多大な投資をしているが、収益を得る > 見込みはほとんどない」という通説は間違いで、真実は「ダイナミックな成長市 > 場で臨界量を速やかに達成すべく先行投資をしているのであり、早めに地位を確 > 立すれば、将来その成果を獲得できる」とある。 >  ネット販売企業の売り上げのざっと65%がマーケティングと広告に再投資され、 > 注文1件を得るためのコストは平均約26ドル。従来の小売りはそれぞれ4%と2ドル、 > カタログ販売は6%と3ドルとのこと。極めて異常である。ネット販売最大手で年間 > 売上が10億ドルを超えたアマゾン・ドットコムでさえ赤字である。 >  同記事にあるように「斬新なビジネスの仕組みを確立し、顧客基盤の深さと規 > 模の両方を獲得した一番乗り企業が市場を制覇する」のは間違いない。 >  しかし、単なる思い付きや目新しさだけの仕組みや、ネットの本質に逆行した > 安易な規模の拡大が、いずれ墓穴を掘ることを決して忘れてはならない。すでに > 数多の事例があるように。 ========================================================================== ---◆最近のサテライトニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●ソニー、CSデータ放送事業に参入。プラットフォーム会社設立へ  ソニーは電通等と共同で今月中旬新会社「IBC(アイ・ビー・シー)」を設立、衛星 データ放送事業に参入する。資本金は2億円でソニー(44%)の他、電通(18%)、三井物 産(15%)、フジテレビ(15%)、朝日新聞社系衛星チャンネル(5%)、NTT(3%)が出資。  各種情報や、画像、音楽ソフトを配信したり、インターネットと連動した視聴者 参加型双方向テレビ番組などを、スカイパーフェクTVで今夏にも開始する計画。  事業形態はプラットホーム(*)形態を取り、今後家電メーカー、放送会社、コンテ ンツ提供会社等幅広く参加を募る考え。(日経産業新聞2月5日付記事より) (*)プラットホーム  衛星デジタル放送で、番組の制作・編集を行う委託放送事業者を取りまとめ、広 告宣伝、加入者管理、利用料金の回収等を行う会社。スカイパーフェクTVやディレ クTVが相当する。 >  多大なる期待をよそに、前途多難な衛星事業。 > かわら版031号では「衛星インターネットMega Waveサービス開始」と「スカイパ > ーフェクTV、データ放送を有料化」を取り上げた。 >  http://www.micle.co.jp/kawara031.txt 参照 > >  BSに注力するライバル松下に対し、CSに賭けるソニー。 > ソニーの本格的テコ入れ無くして、CSの成功は覚束ない。単なるデータ放送チャ > ンネルの運営だけでなく、プラットホーム事業まで手がけるという点に、同社の > 意気込みを感じたい。 > 衛星事業は「It's a SONY!(さすがソニー!)」か「It's a SONY?(これがソニー > ?)」か。ソニーのデジタル家電の成否は衛星事業が握る。 ───────────────────────────────────── ●ソニー系CSチャンネル3社、病院向けに番組配信  http://www.medsat.co.jp/ (メディカルサテライト 情報未掲載)  CS放送で複数の専門チャンネルを運営するソニー系番組供給会社3社は、CSを使い 医療機関向けに健康・医療情報を配信している「メディカルサテライト」と組み、 全国の病院などに向けた番組配信に乗り出す。  病室や外来待合室などのテレビでアニメや音楽番組などが見れるようにし、チャ ンネル認知度を上げ、視聴者開拓を狙う。(日経産業新聞2月5日付記事より) >  現在全国に入院患者が140万人、通院患者が1日600万人いるといわれる。高齢化 > 社会到来を睨んだ健康・福祉、医療分野の新ビジネスや、ベンチャービジネスも > 頗る旺盛である。衛星を活用した当分野の新ビジネスも多い。 >  メディカルサテライトもその一つで、上述のプラットホーム事業を展開してい > る。当初は番組供給事業を予定していたようだが、病院という特殊市場への事業 > 展開には専門プラットホームの方がベターと判断したのだろう。 >  もちろんスカパーやディレクにも当分野の専門チャンネルがあり、放送予定を > 含め7社が参入するという混戦模様で、今後チャンネル同士の視聴者獲得競争が激 > 化すると思われる。 > > 「ケアネット メディカル・チャンネル」 http://www.carenet.co.jp/ > 「JBS日本福祉放送」 http://www.jbs.or.jp/ > >  同記事ではソニー系チャンネルの参画の詳細は判断できないが、青息吐息の番 > 組供給会社が多い中、単なる番組配信だけに止まらない可能性もありそうだ。 ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、インターネットの本屋さん『まぐま  ぐ』及びメールマガジン立ち読みスタンド『Macky!』を利用して発行しています。  配信の停止や配信先の変更は、下記URLでお願いいたします。  『まぐまぐ』http://www.micle.co.jp/kawara.htm or http://www.mag2.com/  『Macky!』 http://macky.nifty.ne.jp/ ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。   http://www.micle.co.jp/kawara.htm ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を許可無く転載  することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================