==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 045号 1999年 5月11日発行        〜総配信数 1,430部(含抄録版) Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディアやインターネット、衛星関  連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお届けいたします。       by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan/ ========================================================================== <<もくじ>> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.内外で加速する合従連衡!  ・AT&T、CATV業界4位のメディアワン買収。CATVでも最大手に  ・メディアワン買収に絡み、マイクロソフトとAT&Tが提携  ・独伊テレコム、合併に基本合意  ・日本テレコム、AT&T、BTと資本提携。30%の出資受け入れ  ・NTTとAT&T、ネットワークサービス事業で業務提携  ・英C&W、IDC株の公開買い付け開始。完全買収を目指す 02.NTTが電子マネーを推進する理由 ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- 01.BSにも暗雲が?  ・BSデジタル放送、65%が無関心  ・WOWOWの4月の加入数、開局以来初の純減。CS2社は高い伸び 02.イリジウム失速!加入数はわずか数千台 ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●内外で加速する合従連衡! ◆AT&T、CATV業界4位のメディアワン買収。CATVでも最大手に  http://www.att.com/press/item/0,1193,467,00.html  メディアワンを巡る、米通信最大手AT&Tと米CATV大手コムキャストとの買収合戦 が決着した。競り勝ったAT&Tは、現金、株式合わせ総額540億ドル(約6兆5千億円)で メディアワンを買収する。  買収を認める代わりに、コムキャストはAT&Tの持つ200万人のCATV加入者を引き継 ぎ、またコムキャストに11%出資するマイクロソフトもAT&Tと提携する。(下記参照)  これにより、AT&TはCATV分野でも最大手となり、CATV網を利用した地域電話事業 やインターネット事業の強化を図る。 ◆メディアワン買収に絡み、マイクロソフトとAT&Tが提携  http://www.microsoft.com/presspass/press/1999/May99/MSTPR.htm  上記に絡み、AT&Tとマイクロソフト(MS)は提携を発表した。MSがAT&Tに対して50 億ドル(約6000億円)を出資する一方、AT&Tは同社が管理するCATV受信装置用に、MS の携帯端末用基本ソフト「ウィンドウズCE」を使用拡大する。  また、両社はCATV網を使った電話、インターネット、テレビ放送など次世代総合 通信サービスも共同展開する。 >  かわら版033号「AT&T、タイム・ワーナーと提携、CATV電話で地域通信市場へ再 > 参入」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara033.txt で以下のように記した。 >  半導体やパソコンの性能が飛躍的に向上するなかで、インターネットのボトル > ネックは家庭に直結する加入者回線の速度の遅さ。解消手段として実用化が進み > つつあるのがDSL、CATV、そして衛星。地域通信各社と長距離第2位MCIワールドコ > ムはDSLの普及を急ぎ、AT&TはCATVに賭ける。 >  タイム・ワーナー(カバー世帯数2,000万)、TCI(1,800万)に続き、他のCATV会社 > とも連携を進め全米6割の世帯を網羅し、マ・ベル(母なる電話会社)と呼ばれ米通 > 信界に君臨したAT&T帝国復権を狙う。 >  今回のメディアワン買収もまさにこの一環に他ならない。さらにマイクロソフ > トとの提携というおまけつき。通信、ソフトの最大手同士の提携には米政府や通 > 信業界に懸念の声がでているようだ。 >  日経BizITは「AT&Tに出資したMicrosoft、米国の強者連合に死角はないか?」 > と、この話題を取り上げ解説している。   http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/hsia/hsia.shtml#closeup ◆独伊テレコム、合併に基本合意  http://www.dtag.de/dtag/presse/artikel/0,1018,x157,00.html  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc636.html  合併交渉を続けていた、ドイツテレコムとテレコムイタリアは先月22日、合併の 基本合意を発表した。98年度の両社の売上高を合わせると、633億ドル(約7兆6000億 円)で、NTTに次ぐ世界第2位の通信事業者が誕生する。(下表参照)  伊テレコムは、独政府が独テレコム株の7割強を保有していることを警戒、合併に 懸念を表していたが、合併会社の経営には干渉しないことを保証したため、伊テレ コム側も了承した。  今後は、欧州連合(EU)による独占禁止政策上の審査が焦点になる。伊テレコムに 敵対的買収を仕掛けている伊情報機器大手オリベッティが、買収条件を引きげ合併 に対抗する可能性もある。 >  M&Aの嵐が吹き荒れる世界の通信市場で、旧国営通信企業同士の合併は初めてで > ある。伊テレコムは国際通信事業に出遅れ、民間企業の買収の標的にまでなって > いた。独テレコムも、仏テレコムや米スプリントと提携しグローバル・ワンを結 > 成、BT・AT&T連合に対抗しているが、伸び悩んでいる。 >  合併を機に巻き返しを図る狙いだが、仏テレコムの提携離脱の可能性や、オリ > ベッティもTOB開始を宣言するなど、決着には時間がかかりそうだ。 >  何やら、米英連合国と独伊枢軸国が対峙した、第2次世界大戦を彷彿させる様相 > だが、さて我国は?  参考−世界の電気通信事業者トップ10−    売上高(億ドル)  1.NTT                     794  2.独テレコム−伊テレコム(合併予定)       627  3.ベル・アトランティック−GTE(米)(合併予定)  570  4.AT&T(米)                   532  5.SBC−アメリテック(米)(合併予定)       459  6.MCIワールドコム(米)             304  7.仏テレコム                 262  8.BT(英)                   252  9.ベルサウス(米)               231 10.テレフォニカ(スペイン)            185 ◆日本テレコム、AT&T、BTと資本提携。30%の出資受け入れ  http://www.japan-telecom.co.jp/PRdept/news/n990425.html  日本テレコムと英BT、米AT&Tは、資本関係を含む包括提携構築で合意した。両社 が日本テレコムの第三者割り当て増資に応じ計2200億円を出資、同社株式を15%づつ 取得する。国内通信会社が海外メガキャリアと本格提携するのは初めて。  提携を機に日本テレコムは両社の日本子会社を統合、国内・国際一貫通信事業に 本腰を入れる。また、増資を受け次世代通信網のインフラ整備に400億、次世代携帯 電話事業に800億円を投資するなど、戦略分野への積極的な展開を図る。 ◆NTTとAT&T、ネットワークサービス事業で業務提携  http://info.ntt.co.jp/news/news99/9904/990427.html  NTTとAT&Tは、多国籍企業向けネットワークシステムの戦略的コンサルティング、 設計・構築から保守・運用・拡張までの一貫した総合サービス事業で業務提携した。  AT&Tが米IBMから50億ドルで買収するデータ通信網「IBMグローバル・ネットワー ク(IGN)」の日本での運営主体として、両社で合弁会社を設立する。NTTは既に同分 野でIBMと業務提携しており、提携を機に日本やアジア・太平洋地域でのネットワー クサービス事業を強化する。 ◆英C&W、IDC株の公開買い付け開始。完全買収を目指す  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc650.html  国際デジタル通信(IDC)を巡り、NTTと買収合戦を繰り広げている英国第2位の通信 事業者ケーブル・アンド・ワイヤレス(C&W)は7日、IDC株の公開買い付けを始めた。 1/3以上の取得を条件に、1株当たり10万7372円とNTTを上回る金額を提示した。買い 付けの締め切りは6月5日、完了日は6月10日。  C&Wはトヨタ、伊藤忠と並びIDC株を17.7%保有する筆頭株主で、買い付けが成功す れば単独筆頭株主となり、経営上の重要事項に対する拒否権を持つことになる。  C&Wは完全買収を目指す姿勢で、資金(566億円)は手当て済みという。 >  BTとともに日本テレコムへの出資を発表したばかりのAT&Tが、2日後にはNTTと > の提携を発表した。 >  日本テレコムとの提携はインフラ分野を主体とした資本提携。日米欧3極をお互 > いの回線網で結びグローバル通信網を構築する。これに対しNTTとの提携はシステ > ム構築・サービス事業での業務提携。多国籍企業向けにインターネットの普及で > 急成長し、高収益が期待できるデータ通信システムを販促する。 >  技術力も資金力も劣る日本テレコムへは、まずは金と人を送り込み、いずれは > 傘下にとの思惑で。技術力に優れ、資金力にも問題のないNTTとは対等の強者連合 > で、多国籍企業向け市場を制覇。という極めてダイナミックな二股作戦である。 >  両社15%づつという出資は、JRグループの持ち分を上回らないよう、またJR東日 > 本の筆頭株主の座を維持しようとした、複雑な調整結果のようだ。日本テレコム > は経営自主権が確保できたと一安心のようだが、IDCを巡るC&WとNTTの攻防も、英 > 政府を巻き込んだC&Wのしたたかさで、混迷を深めている。 >  我国通信業界が、外資に席捲される日も近い? ───────────────────────────────────── ●NTTが電子マネーを推進する理由  先月、銀行とNTTが推進する電子マネーの共同実験「スーパーキャッシュ」がスタ ートした。NTTが開発したICカードに、対応ATMや公衆電話、家庭のパソコンからチ ャージ(入金)して、各店舗やインターネット上のショッピングモールで利用する。  日経コミニュケーション1999年5月3日号は、「NTTの狙いは固定電話の復権。公衆 電話を金融端末に。実験の成否は、電子マネーの将来だけでなく、NTT固定電話の将 来までも左右するかも知れない」と解説した。 >  同記事によれば、固定電話加入数は不況や携帯電話の影響で減少、通話料収入 > は値下げもあり、97年度は前期比11.7%減、公衆電話料収入も同23.5%減と苦戦。 > しかし、加入電話や公衆電話が電子マネーのチャージや電子チケットなどの購入 > にも使える「金融端末」へ変身すれば、金額チャージや決済の際の通話料はNTTに > 転がり込み、劣勢を挽回できる可能性がある。携帯電話は単独ではICカード方式 > への対応は難しいとのことだ。 >  ICカードを用いた電子マネー実験は、「ビザ・キャッシュ」や「郵便貯金ICカ > ード」「インターネットキャッシュ」などいずれも成果は芳しくなく、決済サー > ビスだけのICカード事業は成功しないとの認識も広まりつつある。 >  「スーパーキャッシュ」も、前途多難だろう。 > > ・スーパーキャッシュ http://www.s-cash.gr.jp/ > ・ビザ・キャッシュ http://www.visa.co.jp/digital/cash.html > ・郵便貯金ICカード >   http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/kawase/980615j301.html > ・インターネットキャッシュ http://www.icash.gr.jp/ ========================================================================== ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●BSにも暗雲が? ◆BSデジタル放送、65%が無関心  http://www.nrc.co.jp/ 日本リサーチセンター(情報未掲載)  日本リサーチセンターが、先月行ったBSデジタル放送に関するアンケート調査に よれば、2000年12月のデジタル放送開始を知っている人は1割強で、有料でも見た いという人は約5%にとどまった。  開始を知っていたのは12.4%、「名前だけは知っていた」31%、「知らなかった」 が56.2%。関心度についても「ある」は2割に満たず、「ない、あまりない、まった くない」が合わせて65%で、関心の低さが浮き彫りになった。 ◆WOWOWの4月の加入数、開局以来初の純減。CS2社は高い伸び  日本衛星放送(WOWOW)の4月の新規加入件数は19,328件、解約件数は20,331件で、 91年開局以来月次ベースで初の純減となった。4月末累計加入件数は253万3千件。 CATV経由の解約が増えているほか、CS放送など競合メディアの台頭により視聴者の 流動性が高まっているという。  一方、スカイパーフェクTVとディレクTVは、各々51,000件、15,600件でいずれも 昨年12月以来の高い伸びを記録した。累計加入件数は各々116万4千件、27万5千件。 プロ野球の試合中継に的を絞ったチャンネルパッケージの投入や、テレビCMを軸と したキャンペーンなどが奏功したという。(日経産業新聞5月7日付記事より) >  かわら版035号で取り上げた、インターネットユーザーを対象とした三菱総研の > 放送のデジタル化に関するアンケート結果も以下のとおりであった。 >  http://www2.dialine.co.jp/other/press/index.html > ・地上波・BSデジタル化の認知度は低く、4割以上がその輪郭すら知らない > ・CS放送の認知度は高いが、加入意向は2割弱と低い > ・専用チューナー購入やTVの買い替えなどの費用や、視聴料の有料化を懸念 >  今回の一般ユーザーを対象とした調査結果はさらに酷い。WOWOW加入者も初めて > 純減。様々な問題を抱え前途多難なCSに加え、BSにも暗雲が漂ってきた?。 ───────────────────────────────────── ●衛星携帯電話イリジウム失速!加入数はわずか数千台  世界中どこでも利用できる究極の携帯電話として、昨年11月鳴り物入りでサービ スを開始したばかりの衛星携帯電話「イリジウム」のCEOが辞任した。  昨年末時点の実加入者は全世界で僅か3000台で、目標の10分の1にも届かず、引責 辞任との見方が強い。イリジウムはこれまでにも営業開始延期や資金調達の遅れな ど混乱続きで、国際的な寄り合い世帯ならではの弱みが見え隠れしている。  (日経産業新聞4月26日付記事より)  なお、日本イリジウムは15日より料金体系を簡素化、値下する。  http://www.iridium.co.jp/press/990427a.html >  90年に米モトローラが提唱した、77個の衛星で全世界を1つのネットワークでカ > バーするという壮大な計画は、原子番号77に因んでイリジウムと名付けられた。 > 当時、携帯電話の普及率は1%以下、端末は重く料金も高かった。期待は高まり、 > 日本の京セラ・DDIグループなど、世界15ヶ国・19投資家が出資した。 >  イリジウムに次ぎ、米グローバルスター(99年第3四半期サービス開始予定)、英 > ICO(同2000年8月、KDD、IDO、日本テレコム等が出資)など相次いで衛星携帯電話 > サービス計画を打ち出した。 >  その後の急激な携帯電話の軽量化と料金低下はご存知のとおり。今や全世界で3 > 億台以上が利用されている。イリジウム端末の重さは携帯電話の約7倍、通話料金 > も約8倍。寄り合い所帯がもたつくうちに、いつしか同サービスの魅力は薄れた。 > 世界共通仕様の次世代携帯電話サービスの開始も目前である。 >  公海や砂漠、山岳地など携帯電話が使えない場所や、災害時などのバックアッ > プ用だけでは、衛星インフラを満たす需要を確保し、投資を回収するのは不可能 > に近い。衛星携帯電話はこの先一体どうなるのだろうか。 ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メールマ  ガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登録メ  ンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。  wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。  http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無く  転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================