==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 049号 1999年 6月 8日発行        〜総配信数 1,470部(含抄録版) Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディアやインターネット、衛星関  連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお届けいたします。       by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan/ ========================================================================== <<もくじ>> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.誰が日本のCATVを救うのか?  ・電通審、CATVの将来ビジョン答申。2010年までに全てデジタル化  ・東電グループ、CATVデジタル化に向け協議会設立  ・KDD、CATVを利用した双方向インターネット電話実験を10月より開始 02.テレビ接続型ネット端末の“安易で杜撰”なビジネス戦略  ・セガ、ドリームキャストの再生は、1万円値下げとネット端末機能強化で  ・オラクル「NCTV」ソフトの出荷計画と、JA長野グループの推奨機認定を発表  ・住友不動産、テレビ用ネット端末開発  ・米WebTV、サービス内容をアップグレード、新端末も発表 ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- 01.デジタルテレビを扱いかねている日本  ・日テレ系、BSデジタル放送をHDTV(高画質)放送に一本化  ・NHK、BSデータ放送参入見送り  ・経団連「デジタル時代における衛星放送産業の発展に向けて」発表  ・デジタルテレビを扱いかねている日本 ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●誰が日本のCATVを救うのか? ◆電通審、CATVの将来ビジョン答申。2010年までに全てデジタル化  http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/new/990531j701.html  電気通信審議会(郵政相の諮問機関)は、「ケーブルテレビの高度化の方策及びこ れに伴う今後のケーブルテレビのあるべき姿−平成22年のケーブルテレビ−」と題 したCATVの将来ビジョンを答申した。  BS衛星放送や地上波放送がデジタル化する中で、CATVを高画質・多チャンネルか つインターネット接続もできる次世代情報通信インフラに脱皮させるのが狙いで、 自主放送を行う都市型CATVは2005年までに、難視聴対策施設を含め全てのCATVを20 10年までにデジタル化すべきと提言した。  これを受け郵政省もできる限り早期に答申内容の実現を図っていく方針。 ◆東電グループ、CATVデジタル化に向け協議会設立  http://www.tepco.co.jp/corp-com/press/1999060102-j.html  東京電力グループ6社は、郵政省の方針を受け「CATV放送実験協議会」を設立、 CATVデジタル化・高度化の早期実現を目指す。  同社はこれまで、送電線建設に伴うテレビ放送の難視聴対策として約70万戸の世 帯にCATVによる共同視聴施設を設置、地上波テレビの再送信とともに、子会社を通 じ有料の多チャンネル放送サービスも提供している。 ◆KDD、CATVを利用した双方向インターネット電話実験を10月より開始  http://www.kdd.co.jp/press99/99-031.html  KDDは、関東・東海地区のCATV事業者7社と共同で、10月からモニター家庭100世帯 を対象に、CATV網を利用したインターネット電話システムの実験を開始する。  CATV側からの発信だけでなく、一般の電話からの着信も可能とした双方向システ ム実用化のための技術的検証や運用ノウハウを取得するのが狙い。 >  CATV業界にも、ようやく本格的淘汰の時代が到来する。デジタル時代を間近に > 控え、郵政省がとうとう重い腰を上げた。これまでの保護・育成から、競争促進 > へとCATV行政を大きく方針転換した。 >  経営体力のある事業者には2005年までに基幹網を光ファイバー化し、インター > ネット事業も要望する。一方、零細事業者には2010年という期限を区切り、合併 > や提携による事業規模の拡大や広域化を促す。 > >  CATVについては、かわら版でも何度も取り上げて来た。巨額の資金が乱れ飛ぶ > 昨今の米国の状況を見れば、次世代メインインフラの一つとしての可能性と将来 > 性は一目瞭然である。 >  ご承知のように、難視聴対策から生まれた我国のCATVは、市町村単位の零細事 > 業者が大半で、自治体や民間企業など資本関係も複雑に入り組んでいる。大手企 > 業によるMSO(CATV統括運営会社)化など、統合化の動きが見られるもののその歩み > は遅々としたまま。もはや次世代の主流にはなり得ないとの悲観論も根強く、ソ > ニーなどはCATVを見限った感すらある。 > > 業界の実態は、情報通信総合研究所の「CATV事業の明と暗を探る」に詳しい。 >  http://www.icr.co.jp/newsletter/trend/series/1997/s97C001.html > >  6月3日付日経産業新聞に、MSO最大手ジュピターテレコム石橋社長の見解が紹介 > されている。氏によればデジタル化の実質的期限は2001年。それまでにCATVを「 > 二つの試練」が襲う。一つは2000年12月のBSデジタル化。現状ではHDTV放送をそ > のまま流せない。二つ目は2001年9月のNTTの加入者系光ファイバーの全面開放。 > NTTから光回線を借りれば、外資でも誰でもCATV事業を始められる。 >  ジュピターは来年末までにはデジタル化にメドをつける考えのようだ。上記の > KDDや東電グループの動きも答申を先取りしたもの。 > >  一方、5月28日付同紙の取材ノート「誰が日本のCATVを救うのか」には、「多く > のCATV事業者は、この答申に戸惑いを隠さない。1局当たり最低10億とされるデジ > タル化投資に耐えられる事業者はごく僅か。期待の地方自治体も税収不足で青息 > 吐息。この問に対する説得力ある答えが見つからない限り、明るい未来は絵に描 > いた餅に終わりかねない」とある。 > >  誰が日本のCATVを救うのか・・・、マイクルが答えを出そう! ───────────────────────────────────── ●テレビ接続型ネット端末の“安易で杜撰”なビジネス戦略 ◆セガ、ドリームキャストの再生は、1万円値下げとネット端末機能強化で  http://www.sega.co.jp/dreamcast/sncc_a.html  セガ・エンタープライゼスは、ドリームキャストの今後の世界戦略を発表した。 今月24日から価格を29,800円から19,900円に大幅値下げ、北米と欧州でも199ドル、 199ポンドで9月からそれぞれ発売する。  これを契機に200億円を投じて新たな世界的ネットワークを構築、インターネット ベースながら反応待ち時間を感じさせない高速オンラインゲームや、ビデオチャッ ト(テレビ電話)サービスなどを提供する。また、付属のインターネット接続・閲覧 ソフトの新版も投入、ネット端末機能強化でドリームキャストの起死回生を図る。 ◆オラクル「NCTV」ソフトの出荷計画と、JA長野グループの推奨機認定を発表  http://db.oracle.co.jp/news/owa/news.NEWS_DETAIL?p_news_code=283  http://db.oracle.co.jp/news/owa/news.NEWS_DETAIL?p_news_code=282  オラクル子会社の米リバレート社は、インターネット端末「NCTV」用最新ソフト の日本市場向け出荷計画を発表した。プロバイダー向けと、NCTV端末向けの2種で、 オラクルのデータベースソフト「Oracle8」との連携によるユーザー認証、アカウン ト管理などの他、性能改善、セキュリティ強化などが図られている。  NCTVは、三井不動産が建設中のマンションや、シティバンクの金融サービス、習 志野市のCATVインターネット端末などに導入されることが発表されているが、今回 新たに、JA長野グループの地域イントラネット用端末として認定された。 ◆住友不動産、テレビ用ネット端末開発  http://www.sumitomo-rd.com/ (情報未掲載)  住友不動産は、テレビ用インターネット端末「テレイカ」を開発、今夏から自社 の分譲マンションに導入する他、住友商事、京セラなどと共同でホテルや、一般家 庭向けにも販売する。実売価格は4万円。2001年3月期に30万台の販売を目指す。 ◆米WebTV、サービス内容をアップグレード、新端末も発表  http://www.webtv.net/company/news/nextgen.html  米WebTV Networks社は、サービス内容のアップグレードと、新端末の発売を今夏 より行う。目玉は、ウィザード(対話型ガイド機能)形式でホームページを作成でき る「Page Builder」や、オンラインショッピングサービスの拡充。  国内のアップグレード時期は未定。 >  操作が面倒なパソコンではなく、家庭のテレビで手軽にインターネットが楽し > めるとの謳い文句で、華々しく登場したテレビ接続型ネット端末。 >  バンダイの「ピピンアットマーク」、「セガサターン」、日立や三菱電機のイ > ンターネットTV・・・、いずれも鳴かず飛ばずで、何時の間にか消えてしまった > ものや、ソニーの「So-Net端末」やNTTの「infoJack」のように日の目を見なかっ > たものもある。 >  マイクロソフト傘下に入った米WebTVの創業社長パールマン氏は、新たな起業家 > 活動のため今月末で同社を退社する。80万人の視聴者を集めたとは言え、WebTVの > 将来に疑問を感じたこともその理由であろう。 > >  今また懲りずに、新たな企業がテレビ接続型ネット端末にチャレンジし始めた。 > セガ「ドリームキャスト」http://www.dricas.com/ > ウェブTV「WebTV」    http://webtv.co.jp/ > 日本オラクル「NCTV」  http://www.oracle.co.jp/nc/index.html > 日本電算機「i-BOX」   http://www.jcc.co.jp/ibox/ > NEC「MULCO(マルコ)」  http://www.nehe.nec.co.jp/press/wp/Mulco.htm > 船井電機「カードでね!」 http://www.mabikai.mbc.ntt.co.jp/dottg/card.html > 住友不動産「テレイカ」 http://www.sumitomo-rd.com/ > サイネット「!Hola!(ホーラ)」http://www.cynet.co.jp/new_hola.html > トーメン「カードジャックスーパー」http://www.tomen.co.jp/release/text.htm > >  何故普及しなかったのか。当時はハード(画面の見づらさや、操作性)やシステ > ム(通信速度の遅さ)の所為であろう。今普及しないのは、ハードやシステムでは > ない。サービスやコンテンツの貧弱さ、そして何よりもインターネットそのもの > を知らない、安易で杜撰なビジネス戦略に他ならない。 >  その典型が各社のホームページである。 >  セガの入交社長は「我々はインターネット・ビリーバー(信奉者)」と表してい > るようだが、果たしてドリキャスのホームページをジックリと見たことがあるの > だろうか。上記の企業またしかりである。いやしくもネット端末を手がけるなら > ば、せめて自社のホームページぐらいは、まともに運営してもらいたいものだ。 ========================================================================== ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●デジタルテレビを扱いかねている日本 ◆日テレ系、BSデジタル放送をHDTV(高画質)放送に一本化  BSデジタル放送をめぐっては、各局に割り当てられた伝送容量の関係で、HDTVの 場合は1チャンネル、現在の地上波と同じ標準テレビ(SDTV)だと3チャンネルの放送 がそれぞれ可能で、これまではHDTVとSDTVの組み合わせになると見られていた。  日本テレビ系列「ビーエス日本」の漆戸社長は、「BSデジタル放送はHDTV放送1チ ャンネルにする」と発表、この理由として、SDTV3チャンネルにした場合、番組調達 が難しい、HDTV用放送機材も充実、制作面でも低コストでできるなどを挙げた。TBS 系とフジテレビ系2社も同様の方向で検討している。  企業の広告料金には限りがあり、チャンネルが増えても広告収入増に結びつかな いとの実感や、番組作りのアイデアに苦しむ日々が続く中で、各局は夢から覚め、 現実路線に転換した。(朝日新聞6月1日付朝刊記事より) ◆NHK、BSデータ放送参入見送り  NHKの海老沢会長は、定例会見で、関連会社日本文字放送が予定していたBSデータ 放送への参入を見送ったことを明らかにした。初期投資が10億円以上かかる他、年 間のランニングコストが4〜5億円かかり、採算をとるのが困難と判断したため。 (日経産業新聞6月4日付記事より) ◆経団連、「デジタル時代における衛星放送産業の発展に向けて」発表  http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/pol231/index.html  タイトルと、主な内容は以下のとおり  1.基本的視点 「利用者の立場の重視」「メディア間の切磋琢磨と相互補完」  2.衛星デジタル放送産業発展のための課題   「利用者が加入しやすい仕組みづくり」「ソフトの生産性向上と多元的利用」  3.東経110度CS放送の実現に関わる問題について  4.衛星デジタル放送産業発展のための環境整備について   「新たな著作権ルールの確立」「ケーブルテレビの拡充」「集合住宅等での共   同受信の推進」「放送と通信の融合への対応」等 ◆デジタルテレビを扱いかねている日本  http://www.hotwired.co.jp/news/news/2517.html  ワイアード・ニュースのDavid Lazarus氏のコラムを要約して、ご紹介する。  デジタルテレビ放送に関する動きが激しくなっているが、どうも日本人は最新技 術をどう扱ったらいいものか、よくわかっていないようだ。  エンドユーザーのことをたいして考慮もせずに、猪突猛進して最新技術を取り込 もうとしている。NHKはもっと分別があってしかるべきで、アナログハイビジョン失 敗の教訓が生かされていない。多チャンネルのCATVやCSデジタル放送も、複数チュ ーナーや衛星アンテナが必要だったり、料金を支払ってまで見る必要性を感じなか ったりで、普及しなかった。  日本人はテレビを見る態度が特に受け身で、選択の幅を広げたり、テレビと「イ ンタラクティブ」にやりとりすることなど望んではいない。日本でのインターネッ ト利用がこれほど遅れている理由として、官僚的で複雑な規制の悪影響が決まって 指摘されるが、ネットに必要な自由の感覚や能力の拡大に、大方の日本人がさほど 熱心ではないということも要因である。  日本人は情報とエンターテイメントに関しては、概して、乗客になって誰かに運 転してもらうほうが好きらしい。 >  我国の現状は、全くLazarus氏の言うとおりだ。であればこそ、なおさら日テレ > やNHK、そして具体的ビジョンに乏しい経団連の提言に怒りが納まらない。 >  「自由の感覚や能力の拡大にさほど熱心ではない日本人」を育ててきたのは、 > 一体誰であろうか。多くの責任がマスコミや大企業にあることは言を待たない。 >  未曾有の不景気や大失業を解消し、新たな発展に向かうためには、銀行救済や > 公共事業へのバラマキなど旧態依然の景気対策ではなく、新たな産業、新たな雇 > 用を生み出す以外には無い。情報通信産業こそその担い手である。 >  えっ、マスコミやお役所や経団連も同じことを言ってるって? >  嘘付け!、このままではBSデジタルも、CATVも死んでしまう。 > >  誰が日本のデジタルテレビを救うのか・・・、マイクルが答えを出そう! ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メールマ  ガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登録メ  ンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。  wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。  http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無く  転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================