==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 052号 1999年 6月29日発行        〜総配信数 1,480部(含抄録版) Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディアやインターネット、衛星関  連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお届けいたします。       by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan/ ========================================================================== <<もくじ>> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.「白書」の数字が意味するもの  ・「平成11年版通信白書」発表、ネット人口は約1,700万人  ・「インターネット白書'99」発刊、ネット人口は約1,500万人  ・半数は使われていない米国のパソコン  ・日本のインターネット急成長は本当か 02.“事業家”から“虚業家”に変貌した?孫正義氏  ・NASD(全米証券業協会)と組み、日本版ナスダック(店頭株式市場)創設へ  ・日米のネット関連企業対象に、総額2300億円の投資基金設立へ 03.ソニーが通信事業に本格参入、無線回線でデータ通信サービス提供 ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- 01.AOL、ヒューズとの提携を強化、衛星でCATVに対抗 02.衛星携帯電話イリジウム、端末・通話料金値下げ ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●「白書」の数字が意味するもの ◆「平成11年版通信白書」発表、ネット人口は約1,700万人  http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/papers/index.html  http://www.kids.mpt.go.jp/ (通信白書for Kids)  通信白書の今年の特集テーマはインターネット。これによると、平成10年度の我 国のインターネット利用者は1,694万人(前年度1,155万人)。世帯普及率は11.0%、 事業所普及率は19.2%、企業普及率は80.0%で「社会の様々な局面でインターネット が浸透しつつある」とまとめている。  ネット関連ビジネスは、約3,700億円(前年度約2,500億)で「各市場ともすべて成 長しており、今後も引き続き拡大していく」と予想。課題として、通信料金格差が 日米のインターネット利用環境の格差要因の一部であり「普及促進には、通信料金 のより一層の多様化及び低廉化が求められる」としている。  また、郵政省はインターネットの仕組みや動向などを、子供向けにわかりやすく 解説したホームページ「通信白書for Kids」を開設した。 ◆「インターネット白書'99」発刊、ネット人口は約1,500万人  http://www.impress.co.jp/release/19990622.html  http://www.iaj.or.jp/iaj/iajnews/news/iwb99.html  インプレスは日本インターネット協会等と共同で、インターネット利用動向実態 調査を実施「インターネット白書'99」として刊行した。  これによると、国内のインターネット利用者は約1,500万人で、昨年に比べ約500 万人増加。世帯普及率は12.9%。今後伸びは安定化傾向に入り、'99年末には約1,850 万人と予測している。  自宅からの利用者数の伸び率が、前年度の106%から152%に大幅に伸長している反 面、勤務先/学校からの伸び率は、69%から16%へと鈍化し、家庭からの利用者数が、 勤務先/学校からの利用者を上回る結果となった。 ◆半数は使われていない米国のパソコン  http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/x86/ARTICLES/1999/q2_3/org990622.html  米国の家庭のパソコン保有率は高まったものの、利用率は向上していないとの調 査結果を米Arbitron社がまとめた。  95年に29%だった保有率は、低・中所得者や子どものいる家庭など、新規購入層の 増大により、99年には54%にまで増加した。ところが、実際にパソコンを使っている 家庭はこの約半分で、インターネットも7割が加入しているものの、約3割はアクセ スしていないという。  とりわけ高所得者層の利用率が50%へと大きくダウン、同社は「職場でパソコンを 使う人が多いため、家庭ではパソコンにさわりたくないのでは」と分析している。 ◆日本のインターネット急成長は本当か  http://www.hotwired.co.jp/news/news/2634.html  ネット利用者や、ネット関連ビジネスについての郵政白書の数字に、業界関係者 が驚いている。  「大変な過大評価、何らかの手段で数字を水増ししているのでは」「この白書の ねらいは、気に入ってもらえるような状況を描き出すことだ。政府はこの数字を出 して、日本が他国に遅れをとっていないことを示したかったのだろう」と言う外資 系コンサルタントや、プロバイダーの技術責任者。  民間企業の多くも、実際のインターネット利用者数を1200万人近くと見積もって おり、パソコンメーカー大手5社のうち3社の出荷台数が、昨年大幅な落ち込みを記 録したことも、このデータをさらに疑わしいものにしている。 >  無色透明な調査などありはしない。調査は“何らかの意図”のもとに行われ、 > そのまとめも“何らかの意図”のもとに行われるが・・・。 >  マスコミ各社の世論調査の、小渕内閣の高支持率や、経済企画庁が発表した今 > 年1-3月期のGDP成長率プラス1.9%(年率換算では7.9%)などなど、最近“何らかの > 意図”が露骨に表れたとの疑念を抱かざるを得ない数字が横行している。 >  通信白書、インターネット白書いずれも政府や関係業界がまとめた数字であり、 > 「日本のインターネット急成長は本当か」という疑問が出てくるのは当然だろう。 > 先回のかわら版でも取り上げように、ネットリタイア者が利用経験者の3人に1人 > に上り、利用者数も1年前の水準に逆戻りしたという調査結果もあるのである。 >  米国でも家庭のパソコンの半数が使われていないようだが、その要因は私が常 > 々言う“埃をかぶった”我国のパソコンとは、大分違うようだ。米国人はパソコ > ンが使えないのではなく家庭では“使わない”のに対し、日本人はパソコンやイ > ンターネットが“使えない”のである。 ───────────────────────────────────── ●“事業家”から“虚業家”に変貌した?孫正義氏 ◆NASD(全米証券業協会)と組み、日本版ナスダック(店頭株式市場)創設へ  http://www.softbank.co.jp/sbadmin/news/990615.htm  ソフトバンクと全米証券業協会(NASD)は、NASDが運営する米国ナスダックの日本 版「ナスダック・ジャパン」創設で提携、来年末までに取引開始を目指す。  ナスダックは、全ての取引をコンピュータネットワークで実施するハイテク証券 市場で、ニューヨーク証券取引所を上回る世界最大の証券取引所。  実現すれば、マイクロソフト、ヤフー、インテルなど米の有力ハイテク企業株の 売買が国内でしかもネット上で行え、個人投資家の活性化に役立つ。株式公開に手 間や時間がかかっていた我国のベンチャー企業にとっても、資金調達や公開が容易 となるなど朗報である。 ◆日米のネット関連企業対象に、総額2300億円の投資基金設立へ  ソフトバンクは、来月日米で総額約2300億円に上る大規模なベンチャーファンド (投資基金)を設立、インターネット関連ベンチャー企業に集中投資する。  米国では、未公開企業対象の基金(約720億円)と、公開間近の有力企業対象の基金 (約1450億円)を立ち上げ、それぞれ180億、720億円を出資する。  日本は100億円(うちソフトバンクは10億円出資)と米国に比べ小規模だが、「ナス ダック・ジャパン」への公開予備軍として、有望なネット企業を発掘、育成する。 >  またもや孫氏の大風呂敷きが!? >  今回の衝撃は「メディア業界に黒船来襲!」と称されたテレビ朝日株買収に始 > まる衛星放送事業以上に大きい。大蔵省や、既存証券業界との関係など紆余曲折 > が予想され、実現を危ぶむ声も強い。 >  “悪名”高きマードック氏と組み、衛星で次世代デジタルインフラを支配しよ > うとした野望は失敗し、事業家としての評価を大きく下げた。今回のナスダック > ・ジャパン構想とベンチャーファンドの設立は、氏の本質が“事業”そのもので > はなく、金もうけすなわち“虚業”にあることを示したとの見方も強い。 >  ソフトバンクはこれまで、米ネット企業を中心に百数十社へ投資、ヤフーなど > 日米の公開企業の株式含み益総額は1兆7000億にも達し、個人資産も8000億近くに > 膨れ上がっているという。世界最大のネット企業群としての地位を固め、投資先 > 企業を倍増し、ナスダック・ジャパンに公開させ、さらなる大もうけを狙う。 >  全米証券業協会という“公的外圧”を巻き込んだ大仕掛けが成功するか否か、 > そして標榜する「デジタル情報革命の旗手」になれるか否かは、“虚業家”では > なく“事業家”としての氏の本質を証明できるか否かにかかっている。 ───────────────────────────────────── ●ソニーが通信事業に本格参入、無線回線でデータ通信サービス提供  http://www.sony.co.jp/soj/CorporateInfo/News/199906/99-055/index.html  http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/new/990618j602.html  ソニーは、郵政省の第一種電気通信事業(自前設備で通信サービスを提供)の認可 を受け、通信事業への本格参入を発表した。来年7月までに、インターネット接続な どデータ通信サービスを開始する。  構築する通信網は、ワイヤレス・ローカル・ループ(WLL)と呼ばれる無線通信シス テム。加入者と基地局を無線で結ぶため、ケーブル敷設が不要でコストを低減でき、 またバックボーン回線にトヨタ、IIJと合弁で設立したクロスウェイブ・コミュニケ ーションズ(CWC)の回線を利用するため、NTT網への依存が大幅に低下する。  当面のターゲットは、SOHOや個人のヘビーユーザーで、関東、東海、近畿地方で サービスを始め、順次エリアを拡大する。 >  日経ビジネス6月28日号「新生NTTが日本を救う」で、ソニーの狙いを解説して > いる。以下要点を引用する。 >  ソニー堀籠常務は「ネットワーク時代とは情報が商品になる時代だ。情報つま > りコンテンツをソニーは持っている。コンテンツを顧客に提供する端末もしかり。 > 後は、間をつなぐネットワークを持てば、顧客に一つの料金体系で、コンテンツ > から通信利用、端末まですべてを包含した商品・サービスの提供ができる」と壮 > 大な青写真を開陳する。 >  だが、これは危機感の裏返しでもある。メリルリンチ証券の太田シニアアナリ > ストは「コンテンツ流通がパッケージ型からネットワーク型に変ることで最も打 > 撃を受ける企業の代表がソニー」と言う。 >  ソニーはハードとソフトの両輪をかみ合わせて成長を遂げたが、その際のソフ > トとはCDにせよVTRにせよすべてパッケージ型。同社の試算によると、1世帯当た > りのパッケージ型ソフトの購入は、2010年には現在(月額5500円)の6割程度に落ち > 込む。逆に現在ほとんど0の通信回線を通じたソフト購入は、約5000円まで急増す > る。手をこまぬいていれば、取り返しがつかないという危機感がソニーの背中を > 押している。 >  まさにそのとおりである。 ========================================================================== ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●AOL、ヒューズとの提携を強化、衛星でCATVに対抗  http://bizit2.nikkeibp.co.jp/usnews/article/19990622/01.shtml  AOL(America Online)は、ディレクTVのオーナー会社ヒューズ・エレクトロニクス に対し、15億ドルの出資を行い、提携関係を強化する。  今回の提携によりAOLは、ディレクTVを利用した双方向型TVサービス「AOL TV」と 衛星高速インターネット接続サービス「AOL-Plus」を展開する。  両社は、既に統合セットトップボックスの共同開発で提携していた。 >  ご存知のように、AOLは全米で会員数1600万人を誇る最大のインターネットプロ > バイダー。ディレクTVは加入世帯数700万を誇る最大の衛星放送事業者。 >  かわら版046号「デジタル家電、インフラの本命は衛星orCATV?−AOL、ディレ > クTVと提携。衛星でCATV(AT&T−MS連合)に対抗」で取り上げたように、高速イン > ターネット、デジタル家電用インフラとして、AOLは“衛星”を選択、“CATV”を > 選択したAT&T−マイクロソフト連合に対抗する。 >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara046.txt >  今回の提携強化で、上記の構図が一層鮮明になった。AOLは、AT&Tのライバル、 > 地域電話会社が推進するデジタル加入者線(DSL)にもアプローチを強めている。 > >  PC EXPOの基調講演で、Marc Andreessen氏(AOL CTO)は「インターネットはTVと > 競争することになる。これは戦争だ」と語り「消費者がより多くの時間をオンラ > インで過ごすにつれ、WebサーフィンはTVチャンネルサーフィンと競合、インター > ネットとTVはこれらの時間を取り合い、争うことになる」と語った。 >  同氏はまた「ラジオリスナーが5000万人に達するまでに38年間、TV視聴者が50 > 00万人を越えるまでに30年間かかったのに対し、ネットユーザーが5000万人を越 > えるまでに要した時間はほんの5年間に過ぎない」とし「便利さとユーザー数に支 > えられたインターネットの普及の波は誰にも止められない」と語った。 >  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/990623/pcexpo01.htm ───────────────────────────────────── ●衛星携帯電話イリジウム、端末、通話料金値下げへ  http://www.ddi.co.jp/release/990622a/index.html  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc762.html  日本イリジウムは7月1日から、衛星携帯電話サービスの通話料金体系を大幅に簡 素化、大半のパターンで値下げする。また同日から、衛星携帯電話3機種の定価を22 〜25万円に10万円程度値下げし、衛星ポケベルも6万1000円に3万円値下げする。  今年1月の商用サービス開始後、5月15日に次ぐ2回目の料金改定。 >  かわら版045号「衛星携帯電話イリジウム失速!加入数はわずか数千台」でイリ > ジウム端末の重さは携帯電話の約7倍、通話料金も約8倍と指摘したが、今回の値 > 下げで需要はそれなりに上向くだろう。 >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara045.txt >  しかし、公海や砂漠、山岳地など携帯電話が使えない場所や、災害時などのバ > ックアップ用だけでは、衛星インフラを満たす需要を確保し、投資を回収するの > は不可能に近い、という根本的問題の解消にはほど遠い。このままでは早晩サー > ビス停止に追い込まれる。起死回生の手はあるのか? ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メールマ  ガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登録メ  ンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。  wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。  http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無く  転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================