==========================================================================      ◆◆◆ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ◆◆◆            第 058号 1999年 8月10日発行        〜総配信数 1,530部(含抄録版) Thanks!〜 ───────────────────────────────────── 氾濫する情報洪水の中から厳選したマルチメディアやインターネット、衛星関  連のニュースやトピックスを、平易かつ簡明に解説してお届けいたします。       by マイクル渡辺 http://www.micle.co.jp/plan/ ========================================================================== <お知らせ>  電網かわら版をご購読いただきありがとうございます。お盆休みにつき、次週の かわら版は休載させていただきます。次号は24日に発行いたします。  残暑厳しき折り、御身ご自愛下さい。 <もくじ> ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- 01.家庭向け高速インターネットの話題から  ・CATVインターネット6万契約を突破、利用可能世帯は500万に  ・有線放送電話網による国内初の商用ADSLインターネット、9月より開始  ・東京めたりっく通信、一般電話網によるADSLインターネットを今秋にも開始  ・インターネット・アクセスをNTT任せで良いのか? 02.アメリカのデジタルテレビは瀕死状態 ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- 01.衛星放送番組の話題から  ・スカパー、セリエAの全放送権獲得  ・WOWOW、京極夏彦作品をドラマ化  ・地域コンサート、ゲームクリエーター養成講座など 02.移動体向け衛星デジタル放送事業者「モバイル放送」が増資 ========================================================================== ---◆最近のマルチメディアニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●家庭向け高速インターネットの話題から ◆CATVインターネット6万契約を突破、利用可能世帯は500万に  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc856.html  日経コミュニケーションの調査によれば、CATV網を利用したインターネット接続 サービスのユーザー数は、6月末時点で6万2600に達した。サービス提供事業者は61 社で、本年中には79社に達する見通し。  利用可能世帯も、全国4433万世帯(98年10月時点)の11%に当たる、502万世帯に達 した。今年度末には640万世帯に拡大する見通しで「地域限定のマイナーサービス」 というイメージを払拭しつつある。  米国ではAT&Tが大手CATV事業者を次々と買収、2500万世帯をカバーするCATVネッ トワークを獲得、家庭向け高速インターネット回線として活用しようとしている。  NTTがユーザーニーズに見合った高速・低料金のアクセス回線を提供できないまま でいると、CATVが一気に高速インターネットの主役に躍り出る可能性がある。 ◆有線放送電話網による国内初の商用ADSL(*)インターネット、9月より開始  http://www.janis.or.jp/adsl/  長野県の川中島町有線放送と県内のプロバイダー「JANISネット」は、有線放送の 電話回線を利用した、商用ADSL高速インターネット接続サービスを来月1日より、国 内で初めて開始する。  通信速度は、上りが最高272kbps、下りが最高1.5Mbps。一般ユーザー向け料金は、 月額料金5,500円(入会金20,000円)で、ADSLモデム・LANケーブル(貸与)他、10MBの ホームページエリアサービスなどが含まれる。  NTT公衆回線経由で月に20時間以上利用しているユーザは、ADSLでの常時接続サー ビスの方が安くなるという。 (*)ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)  既設の電話用銅線ケーブルを使う高速デジタル伝送方式(xDSL)の一つ。通信事業 者の電話局から加入者宅方向(下り、最大6Mビット/秒程度)と、加入者宅から電話局 方向(上り、最大640kビット/秒程度)の速度が非対称なのが特徴。 ◆東京めたりっく通信、一般電話網によるADSLインターネットを今秋にも開始  http://www.tokyometallic.com/  通信機器関連ベンチャー企業ソネットと、ソフト開発ベンチャー企業数理技研は、 ADSLインターネットサービスを提供する新会社「東京めたりっく通信」を設立、今 秋にも都内でサービスを開始する。  個人向けには月額5,000円台の利用料金を予定、当初は数千ユーザーを募集、商用 サービスノウハウ習得後、来年には提供地域を首都圏全域に拡大、2002〜3年を目処 に全国展開を図る計画。  ADSLは、一般電話網という身近な通信インフラを使った高速インターネットとし て注目され、全世界では今年100万台の出荷が見込まれている。我国では、NTT回線 との接続など諸条件が未解決で、これまで商用サービスが遅れて来た。  両社は、上記有線電話網によるADSL実験にも参加、郵政省の主配電盤(MDF)開放政 策を受け、NTT交換機を通さず直接MDFに接続する方式で新サービスの実現を目指す。 ◆インターネット・アクセスをNTT任せで良いのか?  http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/hsia/column/contents/view990804.html  「快適で安いインターネット・アクセス」をNTTは提供できるのであろうか。  7月の再編時に示した定額料金は、一般ユーザーに受け入れられる水準ではなく、 「地域IP網」経由という新サービスも、想定料金が高すぎた。  高額な料金設定の裏には、料金を安くした場合、通信サービス全体の収支が悪化 するのではというNTTの不安がある。従来の電話・ISDN網経由のアクセスを新サービ スに逃がすと、既存の設備利用効率が落ちる一方、新サービスの利用が進まなけれ ば、新サービス自体の収支も悪化する。  電話やFAXなど従来サービスの需要はもはや大きく伸びるとは考えられず、収益向 上には、既存サービスの減少を補ってあまりあるほど、インターネット・アクセス を伸ばすしかない。要は、短時間で劇的にアクセスが増大するような料金を提示で きるかどうかだが、NTTは恐ろしく慎重である。  このままNTTに任せておいて良いのだろうか?(日経BizIT「記者の眼」より) >  CATV、衛星、xDSL、次世代携帯電話、WLL。かわら版でも何度も報じたように、 > いずれも次世代高速インターネットインフラとして期待され、米国ではその主役 > の座を巡り関係業界が激しい合従連衡を繰り広げている。 >  我国では、CATV、衛星とも未成熟で、これらを利用できるユーザーは限られ、 > また、光ファイバー化に執着するNTTは、既存回線を利用するxDSLや、無線を使っ > たWLLには不熱心で、最近ようやく重い腰を上げたに過ぎない。 >  結果と言うべきか、ISDNの契約数は昨年度末で事務用264万(前年度+113万)、 > 住宅用131万(+68万)と倍増の勢いで伸びている。 >  http://www.ntt.co.jp/news/news99/9905/990531b.html >  現状では、当面NTTに依存せざるを得ないし、光ファイバー化を否定するつもり > も毛頭無いが、「インターネット・アクセスをNTT任せで良いのか?」が指摘する > ように、相も変わらず既存サービスの維持に汲々するようでは、多くは望めまい。 >  新電電各社そして、外資系通信会社、上記のようなベンチャー企業に期待する > ところ大である。 > >  関係情報を特集した、日経BizIT「高速インターネット・アクセス・サイト」 > は、私もちょくちょく利用しており、お勧めである。 >  http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/hsia/index.html ───────────────────────────────────── ●アメリカのデジタルテレビは瀕死状態  http://www.hotwired.co.jp/news/news/2753.html  http://www.hotwired.co.jp/news/news/2761.html  「デジタルテレビは番組の量と質に新時代を開き、世の中を一新する」、家電業 界や放送業界のリーダーたちがそう請け合ってから何年にもなる。しかし、米フォ レスターリサーチの調査によると、デジタルテレビはすでに消滅しかけている。  市場に出てからもう1年近くも経っているというのに、これまでに販売された対応 テレビと受信機はわずか2万5000台で、消費者のうち3分の1近くは、デジタルテレビ のことを聞いたことすらなかった。放送の技術標準や、受信機器の信頼性について も問題が発生している。  同社によれば、「デジタルテレビは消費者の持つ明らかなニーズをあまり満たし ていない。家電業界は『作れば売れる』の論理に頼っているが、消費者だって理解 できない物は買わない」 >  かわら版049号「誰が日本のCATVを救うのか?」「デジタルテレビを扱いかねて > いる日本」で、我国のCATVとBSのデジタル化を取り上げ、論評した。 >   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara049.txt >  上記は、米国の地上波放送のデジタル化に関するレポートである。CATVと衛星 > が普及し、有料放送と多チャンネル化が定着している米国ですら、地上波のデジ > タル化は散々たる有様のようだ。 >  我国の地上波テレビのデジタル化は2003年以降。これ以前に来年末に始まるBS > デジタル放送が、米国の二の舞と成る可能性は限りなく大きい。 ========================================================================== ---◆最近の衛星関連ニュースから◆--- ───────────────────────────────────── ●衛星放送番組の話題から ◆スカパー、セリエAの全放送権獲得  http://www.skyperfectv.co.jp/serie/main.html  http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/prom/78520  スカイパーフェクTVは、イタリアプロサッカー1部リーグ「セリエA」の全放送権 を獲得した。契約期間は今月28日に開幕するシーズンから3年分で、セリエA所属の 18チームすべてが対象。放送権料は3シーズンで約20億円という。  パーフェクトチョイス、SKYsports、J-SPORTSと共同で、中田・名波選手所属の 「ペルージャ」「ベネツィア」の全試合や人気チーム同士の対戦など、毎節9試合の うち5〜6試合を生中継、その他の全試合を録画中継で放送する予定。  今回の契約で、地上波やBS放送の放送権も獲得しており、今後フジテレビやWOWOW などとの間でサブ・ライセンス交渉を進めるとみられる。 ◆WOWOW、京極夏彦作品をドラマ化  http://www3.mediagalaxy.co.jp/wowow/latest/html/dt000236.html  WOWOWは、人気ミステリー作家京極夏彦氏の書下ろし作品を、オリジナルドラマと して独自制作する。京極作品の初の本格的映像化で、1話完結の時代劇シリーズ「京 極夏彦 怪」全4作で構成、第1話を年末年始に放送する。  独自制作の強化で、デジタル時代のコンテンツ確保と、加入者拡大を図る。 ◆地域コンサート、ゲームクリエーター養成講座など  (財)日本薬剤師研修センターは、スカイパーフェクTVで医療機関向け「メディカル ch」を運営するケアネットと組み、研修認定用番組を10月から放送する。アンテナ やチューナーはケアネットが無料貸与する。「メディカルch」の登録視聴者数は約2 万人。(日経産業新聞7月7日記事より)  ゲームソフト開発のヒューマンは、予備校経営のナガセのCS教育チャンネルで、 ゲーム製作者養成講座の放送を開始した。週3回、半年間のコースを終了すれば初歩 的知識が習得できる。受講料は18万円。(日経産業新聞7月22日記事より)  洋楽専門チャンネル「ミュージック・エア・ネットワーク」を運営しているアト スは、ジャズやクラシックなど大人向け音楽を中心としたコンサート番組の自社制 作に乗り出す。CATV各社と組み地元オーケストラの定期演奏会など、年間50本以上 を制作する予定。(日経産業新聞7月22日記事より) >  7月末の衛星放送加入件数は以下のとおりで、スカパー、ディレク、WOWOW3社と > も前月比純増となった。かわら版055号で報じたように、三者三様の夏商戦がそれ > なりに成功したようだ。 >  http://www.micle.co.jp/kawara/kawara055.txt >  ・スカイパーフェクTV:累計132.7万件(前月比+6.5万件) >  ・ディレクTV    :   29.9万件(   +8,100件) >  ・WOWOW       :  253.2万件(   +7,800件) > >  さらなる加入者増や、一旦加入した視聴者をつなぎ止めるには、何よりも一層 > のコンテンツ(番組)の充実が不可欠である。上記のように各事業者や番組供給会 > 社の様々な試みは喜ばしい限りである。 >  さて、昨年のワールドカップ以降、我国サッカー界は低迷状態に突入した。ス > ター不在や、Jリーグの不人気さなど、このままの状態では2002年のワールドカ > ップ日韓共同開催が思いやられる。 >  スカパーのセリエA全試合放映は朗報ではあるが、低迷する我国サッカー界の活 > 性化のためにも、Jリーグ全試合の生中継を是非とも実現させて欲しいものだ。 >  様々な課題があるだろうが、20億もかかるとは到底思えない。要は“ワールド > スポーツ”サッカーを我国に定着させる熱意と戦略、延いてはCS放送を我国に本 > 気で定着させる熱意と戦略があるかどうかだろう。 ───────────────────────────────────── ●移動体向け衛星デジタル放送事業者「モバイル放送」が増資  http://ne.nikkeibp.co.jp/DTV/1999/990803s.html  http://www3.toshiba.co.jp/ccc/page/c851.htm (情報未掲載)  東芝、トヨタ、富士通などが中心となって設立した衛星デジタル放送事業者「モ バイル放送」は、資本金を15億円から50億円に増資した。  新たに日立製作所(1%)、三洋電機(0.5%)など9社が加わり、出資企業数は合計42社 となった。2002年までに400億円に増資する計画。  モバイル放送は、Sバンド(2.6GHz帯)を利用して、2001年からデジタルラジオなど 多チャネル・マルチメディア放送を始める計画で、本年度中の放送免許取得を目指し 準備を進めている。  主要株主の出資比率は、東芝20%、トヨタ17.5%、富士通15%、日本テレビ放送網と 松下電器が7.5%など。自動車メーカはトヨタとダイハツが出資。 >  かわら版053号「日立、自動車向けデジタル衛星放送、事業化へ」で報じたよう > に、Sバンド衛星を巡る東芝陣営と日立陣営の調整が本格化しつつあるようだ。 >   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara053.txt >  先月、電気通信技術審議会が「2.6GHz帯(Sバンド)の電波を使用する衛星デジタ > ル音声放送システムの技術的条件」を答申した。理論上は64チャンネルが確保で > き、伝送速度は236kbps〜413kbpsという。 >   http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/housou/990721j701.html >  一方、かわら版051号「米フォード、衛星を使った移動体向けデジタルラジオ事 > 業展開へ」で報じたように米国でもGM、フォードが同様サービスを計画している。 >   http://www.micle.co.jp/kawara/kawara051.txt >  同号でも「インフラ以前に、コンテンツやサービスを如何に準備・提供できる > かを検討すべきと思う」と指摘したが、前述の「アメリカのデジタルテレビは瀕 > 死状態」を読むに連れ、益々この思いが強くなる。 ========================================================================== ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』は、「読者登録&カンパ制」メールマ  ガジンです。電網企画会社「マイクルプラン」加入メンバー、及び読者登録メ  ンバーにマイクルより直接配信しています。 ◇配信の停止や配信先の変更は、下記メールアドレス宛ご連絡下さい。  wata@micle.co.jp ◇バックナンバーは下記URLでご覧いただけます。  http://www.micle.co.jp/plan/kawaraban.html ◇電網かわら版『必読!マルチメディア』の全文または一部の文章を、許可無く  転載することを禁じます。 ───────────────────────────────────── ◆◆企画・制作・発行◆◆ マイクルコーポレーション http://www.micle.co.jp/ 代表取締役 渡辺朝雄 asao@micle.co.jp 〒231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406 TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 ==========================================================================