**********************************************************************      ■□■ 電網かわら版『必読!マルチメディア』 ■□■           第 090号 2000年 5月22日発行         〜総配信数 1,730部(含抄録版) Thanks!〜 ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 01.無料ISP関連の話題から  ・無料ISP「なぜはらう?ドットコム」6月スタート  ・マスターネット、「Internet Free Access ゼロ」7月から開始  ・ニッセン、ネット事業の新会社「ネットピア」設立へ  ・無料ISPライブドア、100万加入目指し本格攻勢 02.新DDIの3つの弱点、NTT対抗は力不足  ・揺れたDDI、次世代携帯規格で北米方式を採用  ・新DDI、役員人事を発表  ・NTTコム、米データ通信大手ベリオを買収へ  ・NTTドコモ、蘭携帯電話大手KPNモバイルに5千億円出資 03.マーケティング関連の話題から  ・シェア大変動の白物家電  ・セルフガソリンスタンド伸び悩む 04.衛星デジタル放送4月末現在の加入状況  ・スカパーの実契約数は156.5万件。総登録者数の83%  ・WOWOWは249万件。4ヵ月連続減少 ********************************************************************** 【最近のマルチメディアニュースから】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●無料ISP関連の話題から ─────────────────────────────────── ○無料ISP「なぜはらう?ドットコム」6月スタート  http://www.nazeharau.com/  英会話講師派遣会社のガバは「(株)なぜはらう」を設立、広告ベースの無料 ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)「なぜはらう?ドットコム」 を来月より開始する。  利用には、年齢、性別、家族構成などのプロフィール登録や、専用ブラウザ ーソフトが必要で、動画などを使った広告が画面に常時配信される。  インフラは、NTT PCコミュニケーションズを利用し、全国129カ所にアクセ スポイントを開設する。サービス開始6カ月で100万人のユーザー獲得を目指し、 来秋月までに株式公開を行なう予定。 ─────────────────────────────────── ○マスターネット、「Internet Free Access ゼロ」7月から開始  http://www.zero.ad.jp/  10円メールなどを手掛けるマスターネットは、基本接続料が100時間まで無 料のネット接続サービス「Internet Free Access ゼロ」を7月1日から開始す る。従来のビジネスモデルをゼロ(無)にしてニュービジネスに臨むべく、社名 も「ゼロ(株)」に変更する。  利用には、特別な専用ソフトは必要ないが、広告入りEメールや、ユーザー 専用ページへ広告が表示される。  収益モデルは、オプションサービス、広告、決済(代金回収代行)の3つの付 加サービスを想定、営業目標は初年度会員数150万人・収入11億円、次年度会 員数300万人・収入50億円、3年後会員数450万人・収入150億円としている。 ─────────────────────────────────── ○ニッセン、ネット事業の新会社「ネットピア」設立へ  http://www.nissen.co.jp/ http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0515/nissen.htm  通信販売業界3位のニッセンは、今月末を目途に総合インターネットサービ ス会社「ネットピア」を設立する。  ニッセンの会員数は全国1,500万人で、うち女性が1,300万人。既に通販の顧 客情報などを活用したネット販売を展開、4月には売上が3.9億に急拡大してお り、ネットを使った事業展開を本格化させるべく新会社を設立する。  まず、今秋から無料ISPサービス事業(接続端末も無料提供)を開始する予定 で、来年にはポータル、コンテンツまで含めた本格展開を目指す。 ─────────────────────────────────── ○無料ISPライブドア、100万加入目指し本格攻勢へ  http://www.livedoor.com/ http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/inet/101861  昨年11月にサービスを開始し、半年で会員数が30万人を突破した無料ISPの ライブドアは、100万加入を目指し5月中旬より本格攻勢を開始する。  無料ホームページ開設サービスの追加や、アクセスポイントの拡大、Mac用 専用接続ソフトを無償提供など。「インターネット無料主義」をキャッチフレ ーズに、神田うのや鈴木紗理奈などを起用したテレビCM放映も開始した。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  光通信の化けの皮が剥がれ、ソフトバンクの虚像も暴かれようとしている。 いずれも“無料”ビジネスに手を染めたが故の破綻である。にもかかわらず、 有象無象の輩が後を断たない。  マイクルは、よほど“無料”ビジネスが嫌いなのであろう。かわら版のタイ トルをザーと検索しただけでも、昨年2月034号「米で無料パソコン登場。画面 への常時広告表示が条件」で取り上げて以降、様々な“無料”ビジネスを取り 上げ、論評している。 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara034.txt  うんざりしている読者の皆さんも多いかと思うが、ほぼ半年ぶりに取り上げ ることだし、新規購読者も増えているしで、辛抱してもらいたい。  言いたいことは一つ。「只より高いものは無い!」のである。 ・036号「ソフトバンクのCS受信機“無料配布”計画に思わぬに波紋」      http://www.micle.co.jp/kawara/kawara036.txt ・044号「広告を聞くと市外通話が3分間無料に。KDD子会社「UHA!(ウーハ)」   開始」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara044.txt ・046号「英BスカイB、デジタル放送受信端末を無料配布。アナログ加入者の      移行促進」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara046.txt ・051号「日本にもパソコン無料配布サービスが登場」      http://www.micle.co.jp/kawara/kawara051.txt ・055号「只より高いものは無い!?、パソコン無料配布ビジネスに潜むもの」      http://www.micle.co.jp/kawara/kawara055.txt ・061号「オフィスソフト(ワープロ、表計算等)も無料配布時代に?」      http://www.micle.co.jp/kawara/kawara061.txt ・065号「無料配布、貸与、設置サービス…、パソコンは顧客拘束・収奪マシ      ン?」 http://www.micle.co.jp/kawara/kawara065.txt ・069号「アスキーとCSK-Net、女性限定の無料接続サービスを開始」      http://www.micle.co.jp/kawara/kawara069.txt ・070号「無料ネット接続会社が、英国No.1のプロバイダーに」      http://www.micle.co.jp/kawara/kawara070.txt ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●新DDIの3つの弱点、NTT対抗は力不足 ─────────────────────────────────── ○揺れたDDI、次世代携帯規格で北米方式を採用  http://www.ido.co.jp/release/news/20000512_2.html  http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/ncctop10/f_ncc1553.html  DDI/KDD/IDO3社は、次世代移動通信システム「IMT-2000」のアクセス方式に 米クアルコムなど北米メーカーが推す「MC-CDMA」(multicarrier-code divisi on multiple access 旧cdma2000)方式を採用することで、郵政省に事業免許 を申請した。  DDIはかつてMC-CDMAを採用すると見られていた。本年に入りドコモ、J-フォ ンと同じ「DS-CDMA」(direct spread-code division multiple access 旧W-CD MA)に傾いたものの、クアルコムの参入の動きやIDO等の意向もあり、最終的に 稲盛氏が決断したもの。  サービス開始時期やエリア展開については、ドコモやJ-フォンより遅れる。 2002年9月に関東甲信越、東海、関西の主要都市から開始し、2004年3月をめど に全国主要地域へエリアを拡大、2006年3月末までに全国の人口カバー率を90% 以上にする。  ドコモは2001年5月、J-フォンは2001年12月から東名阪でサービス開始、ド コモは2002年4月、J-フォンも2002年10月には全国エリアを完成させる。先行 グループに対抗するため、DDIは2001年内に現行の800MHz帯cdmOneを最大144k ビット/秒と、IMT-2000並みに高速化させる。 ─────────────────────────────────── ○新DDI、役員人事を発表  http://www.kdd.co.jp/press00/00-016n1.html  10月に誕生する、新DDIの役員人事が決まった。副社長以上の顔ぶれは以下 のとおりだが、役員数は総勢53人に上り、同事業分野を手がけるNTTコムとド コモを足した40人を大幅に上回る。  稲盛 和夫 取締役名誉会長(京セラ・DDI名誉会長)  豊田 章一郎 取締役名誉会長(トヨタ自動車名誉会長)  牛尾 治朗 代表取締役会長(DDI会長)  西本 正 代表取締役副会長(KDD社長)  奧山 雄材 代表取締役社長(DDI社長)  土居 正雄 代表取締役副社長(IDO副社長、トヨタ出身)  小野寺 正 代表取締役副社長(DDI副社長)  酒井 進児 代表取締役副社長(KDD副社長、トヨタ出身)  種野 晴夫 代表取締役副社長(DDI副社長)  岩 欣二 代表取締役副社長(KDD副社長) ─────────────────────────────────── ○NTTコム、米データ通信大手ベリオを買収へ  http://www.ntt.com/NEWS_RELEASE/2000NEWS/0005/verio.html  長距離・国際通信のNTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、米データ通信大 手ベリオ社を株式公開買い付け方式により、約55億ドル(6000億円)で買収する 。インターネットサービスの国際化を加速させるのが狙い。  ベリオは1996年3月設立、サーバーレンタルや、データセンター事業などを 手掛け、NTTコムは10%の株式を保有する筆頭株主。現在、世界127カ国で約40 万社の顧客を抱え、昨年の売上高は2億5800万ドル。  日本企業による外国企業の買収では、日本たばこ産業(JT)がRJRナビスコの 海外たばこ事業を約9400億円で、松下電器が米映画娯楽大手MCAを約7800億円 (その後売却)で傘下に収めた例があり、今回の買収は過去3番目の規模。 ─────────────────────────────────── ○NTTドコモ、蘭携帯電話大手KPNモバイルに5千億円出資  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/00/whatnew0509.html  NTTドコモは、オランダの携帯電話大手KPNモバイル社に約5千億円を出資、 株式の15%を取得する。地理的に近いアジアを中心としたこれまでの海外戦略 を転換、次世代携帯電話サービスやモバイル・インターネットなど先進サービ スで、欧州市場に橋頭堡を確保する。  KPNモバイルは、オランダに本拠を置く他、ドイツやベルギー、ハンガリー などの携帯電話事業者に出資、計1千万台の加入台数を抱える。欧州では英ボ ーダホン・エアタッチ、テレコム・イタリア、独仏テレコムに次ぐ有力会社。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  新DDIの役員人事が発表された翌日、日経産業新聞は「新DDIに3つの弱点浮 上」というタイトルで、以下の3点を指摘・解説した。  1.携帯事業の足腰の弱さ  2.財務基盤の不安定さ  3.国際展開の遅れ  1は言うまでもなく、対ドコモ巻き返しの切り札cdmaOneが、シェア向上に寄 与せず、自社代替にとどまっている点。  2は、モトローラ方式からPDC、cdmaOneと、設備償却が済まないうちに互換 性の無い新技術規格を次々と採用した結果、資金負担が膨らんだ。2000年3月 期末の長短借入金残高はDDIが約1兆2千5百億円、IDOは3千6百億円。DDIは初の 連結赤字に転落した。  3は、これまで国際ビジネスの経験のないDDIは、海外大手との提携の必要性 を理解していない。BT・AT&T連合が資本参加する日本テレコムや、上記NTTの 動きなど遅れは否めず。  さらに、上記「IMT-2000」に際しDDI経営陣が下した決断を稲盛氏が覆した例 など、DDIの意思決定の奇妙さ=企業統治の課題も指摘した。  稲盛、豊田両名誉会長は言わずと知れた犬猿の仲。役員陣も、DDI・京セラ 出身者、トヨタ出身者、KDD出身者が各々の利益代表?としてバランス良く? 並んでいる。社内の意思統一がないまま、生き馬の目を抜く世界的な通信再編 劇に参画、勝者となるのは到底困難。行く末は見えたか…。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●マーケティング関連の話題から ─────────────────────────────────── ○シェア大変動の白物家電  白物家電業界が揺れている。市場の頭打ちでシェア争いが激化、これまでの 序列が崩れて、ヒット商品一つでシェアが大きく変動し始めた。  各社とも最先端技術を搭載した戦略商品開発に躍起だ。ところが過度の高機 能化は訴求ポイントの曖昧さを招き、逆に消費者離れを引き起こす。性能の高 い製品でも必ずしも売れるとは限らない。  気まぐれで多様化した消費者志向をどうつかむか。白物家電の開発は暗中模 索の度合いを強めてきた。(日経産業新聞5月10日付記事より) ─────────────────────────────────── ○セルフガソリンスタンド伸び悩む  客が自分で給油するセルフサービス式ガソリンスタンドが伸び悩んでいる。 98年4月の解禁から2年、セルフ式スタンドは全国200店足らずで、スタンド数 全体の1%以下にとどまっている。  全国に5万5千もあるスタンド間の激しい価格競争で、セルフ式の特徴である 割安感を出せないことが普及を妨げている。一方で石油元売り各社は、自動車 整備や物品販売などスタンドの多機能化を推進、セルフ式が主流の欧米とは異 なる道を歩み始めた。(日経産業新聞5月11日付記事より) ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  記事に寄れば、最近の白物家電の成功例と失敗例は以下のとおり。常々指摘 されていることではあるが、マーケットを読むのは本当に難しい。 <失敗例> ・日立冷蔵庫「ねらってビュンビュン」  温かい食品を入れてはいけないという冷蔵庫の常識を覆す自信作だったが、  ポテトサラダを調理後すぐ冷やせるテレビCMなど、新機能の訴求が裏目に。 ・三菱エアコン「感じる霧ケ峰」  温湿度だけでなく、空気の汚れや床・壁の温度まで測定するセンサーや、空  気清浄機能を備えた多機能製品だが、訴求ポイントが曖昧に。 <成功例> ・東芝ドラム式全自動洗濯乾燥機「銀河21」  洗濯に一番手間のかかる「干す」作業をなくすことで、仕事を持つ主婦層の  指示を得た。他社も同タイプ製品を追随。 ・シャープ大型液晶付き冷蔵庫  食品の賞味期限管理や音声メモを記録できたりするデジタル家電的な真新し  さが、最新機能に敏感な消費者に受け入れられた。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●衛星デジタル放送4月末現在の加入状況 ─────────────────────────────────── ○スカパーの実契約数は156.5万件。総登録者数の83%  http://www.skyperfectv.co.jp/info/release/20000508_514.html  スカイパーフェクTVは、4月末現在の加入状況を発表した。今回から情報開 示強化の一環として、従来の「総登録者数」に加え、仮登録・法人契約・CATV 契約・販売代理店用・技術開発用等を除いた「個人契約者数」も公表した。個 人契約者は総登録者の83%。  ・総登録者数 :188.3万件(前月末比9.3万台増)  ・個人契約者数:156.5万件(前月末比7.7万台増) ─────────────────────────────────── ○WOWOWは249万件。4ヵ月連続の減少  http://www.wowow.co.jp/info/co_info/databox.html (情報未掲載)  WOWOWの4月末現在の累計加入件数は、前月比12,500件減の249万件で、4ヵ月 連続の減少となった。同社は不況の影響による視聴料未払い者の自動解約が集 中したことなどをあげ、5月からは攻勢に転じるとしている。  また、12月から始まるデジタル化を見込んだ今年度末(2001年3月)の加入目 標を、BSアナログ:243万、BSデジタル:22万件、合計265万件と設定した。 ─────────────────────────────────── ----☆マイクルの視点☆----  加入者数水脹れを公表したのは、郵政の指導でもあったのであろうか。今回 は加入状況のお知らせということで、次回に、スカパーのデータ放送サービス 中止と、一部報道されたWOWOWと日本テレビの新CSプラットホーム会社設立の 話題を取り上げたい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ■□企画・制作・発行■□ (有)マイクル http://www.micle.co.jp/        231-0011 横浜市中区太田町5-69 山田ビル406             TEL:045-226-1597 FAX:045-226-1598 **********************************************************************